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勉強会の予定・記録

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2004-12-16

第62回「「デジタル・レファレンス」(『電子図書館の新たな潮流シリーズ』第4回)」

01:09 | はてなブックマーク - 第62回「「デジタル・レファレンス」(『電子図書館の新たな潮流シリーズ』第4回)」 - 勉強会の予定・記録

日時 

2004年12月16日(木)

会場 

附属図書館3階研究開発室

発表者 

辰野直子(京都大学人間・環境学研究科総合人間学部図書館)

参加者

渡邉(英)、佐藤、山本、野上、原竹、上山、進藤、杉本、奥野、赤澤、天野、江上、大綱

資料

  • レジュメ

今回のまとめ

(発表のまとめ)

 デジタル・レファレンスとはインターネットを利用した質問回答サービスのことであり、質問と回答の同時性から非同期型と同期型の2種類に分けられる。米国では1990年代から実施されており(非同期型)、2000年代に入ってからは急速に広まった(非同期型+同期型)。デジタル・レファレンスの特徴として、利用者がいつでも・どこでも質問可能という点が挙げられる。それに対応するために、図書館側では即時に多数のレファレンスに対応する準備が必要であり、複数館で協力する共同リアルタイム・レファレンスの体制を組むことが有効とされる。

 米国におけるデジタル・レファレンスの事例としては、LCとOCLCの主導による図書館向けサービスであるQuestionPoint, 米国教育省が支援するプロジェクトであるVirtual Reference Desk(VRD), ミシガン大学が開始したインターネット上の図書館であるInternet Public Library(IPL)などが代表的である。

 翻って日本ではデジタル・レファレンスはまだ広くは行われておらず、そのサービスはおおむね非同期型である。日本におけるデジタル・レファレンス関連の試みとして挙げられるのは、九州地区国立大学図書館協議会によるレファレンス事例データベースの運用、私立大学図書館協会東海地区協議会によるレファレンス事例集、国立国会図書館によるレファレンス共同データベース実験事業などであり、いずれもレファレンス事例の蓄積と公開による情報探索支援を目的としている。

 日本ではまだ一般的ではないが、リアルタイム・レファレンスを実施するために必要な機能には以下のようなものが挙げられる。

・質問者とのやりとり(チャット・同期ブラウジング・ファイル等の送信機能)

・質問の受付(新規質問の到着通知・適切な担当者への割り当て・質問の転送機能)

・記録の作成及び蓄積(レファレンス過程の記録・質問の整理・保存機能)

・システムの運用(参加図書館プロファイルの管理・レファレンス担当者の支援・利用統計の作成・質問事例の相互交換機能)

 インターネット時代の図書館サービスとして注目されているデジタル・レファレンスだが、チャット・レファレンスの一日あたりの利用件数が少なく、サービスを提供するためのコストに見合わない、あるいはGoogle Answersのような商業ベースの質問回答サービスに比べて、回答の質は若干良いがコストはかなりかかっているとの調査結果もある。

(質疑応答で挙がった話題と意見)

・課題・展望で挙げられている調査について、レファレンス回答に対するコストの高低はどのような基準で判断するのかという疑問。

原論文を当たったらあるかも。分かったらご一報を。

一般的に見ても1日10件未満はちょっと少ない。

・商業ベースの質問回答サービスと図書館が提供するデジタル・レファレンスはどこが違うのか。

回答の信頼性。確かな情報源で裏を取っているかどうか。

質問回答サービスは答えを示す。図書館のレファレンスは答えへ誘導する。

・日本でデジタル・レファレンスが普及しないのはなぜ?

図書館員の中でレファレンスの位置づけは実は低いのでは?

そもそもメールアドレスすら公開されていないところもある。

メールアドレスを公開するとウイルス・スパムメールが大量に来て対策が大変。

利用者に質問しようという考え方が元々無い。

メールで質問を受け付けると、利用対象者が広くなりすぎる。

図書館員側に回答の質を保証するだけの力量(自信)が無い。

・レファレンスの手段としての対面・チャット・メール(・電話)の違い。

レファレンスの本当の価値は、本人も漠然としか把握していない情報要求を引き出すインタビューにある。その意味でレファレンスの手段は対面が一番望ましい。

メールは利用者とのやり取りを繰り返すのに手間がかかるため、事実調査のような回答が1回で済むようなレファレンスに適している。

チャットはその中間で、リアルタイムにやり取りが出来る点ではメールよりよい。ただ、途中で調べ物をするあいだの間が持たないかも。

デジタル・レファレンスは視覚的なので、耳の不自由な人には使いやすそう。

海外など遠距離の場合も、電話(や対面?)よりデジタルのほうが便利。

自動的にログが残るので、記録を残す場合にはデジタルのほうが便利。

・レファレンス事例を公開するのはいいが、嫌がる人もいるのでは?

基本的に個人が特定できず、また研究情報などが漏れない事例で、本人に許可を取ったものに限って公開している。そのためレファレンス件数のほんの一部しか公開することができない。

進藤達郎(京都大学工学研究科・工学部物理工学系図書室)

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