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勉強会の予定・記録

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2009-06-26

第112回 京都大学附属図書館の海外ILL業務

21:54 | はてなブックマーク - 第112回 京都大学附属図書館の海外ILL業務 - 勉強会の予定・記録

日時

2009年6月26日(金)

場所

京都大学附属図書館4階 スタッフラウンジ

発表者

菊池 香織 (京都大学附属図書館情報サービス課相互利用掛)

参加者

西川,原竹,野間口,林,山崎,江上,渡邊,古賀先生, 石原,大前,天野,渡邉,長坂, 上山, 宮嶋,辰野,寺升,大西

資料

  • レジュメ

参加者のまとめ: 石原三輪子(文学研究科閲覧掛)

実際の海外OPACの検索画面や論文の申込画面のスライドを交えた臨場感のあるプレゼンテーションで、海外どころかILL業務を担当したことのない自分でも、業務をイメージできる内容でした。受付業務の謝絶率とその理由などの一歩踏み込んだ話題や、すぐに役立つホームページの紹介のような実践的内容もあり、ILL業務に携わったことがある方にとってはさらに興味深い内容だったようです。レジュメの流れは次のとおりです。

  • PART I 附属図書館のILL業務と海外ILL … 主な依頼先や受付館、処理方法など
  • PART II 海外ILL 依頼[流れ] … 海外ILLの心得と依頼の極意など
  • PART III 海外ILL 依頼[実践編] … BL、OCLC、博士論文の依頼など
  • PART IV 役立つツール・参考文献 … 英文E-mail文例など

プレゼンテーションの後は、参加者から例えば次のような感想・意見が上がりました。

  • 電子情報掛との連携が必要(古賀先生)
  • ILLの実績が多いところを依頼先に選ぶのも有効(江上)
  • イタリアの資料の場合、図書館に限らず美術館に依頼することもある(山崎)

3人の他にも多くの参加者が次々と声を上げ、活発な意見交換と企業秘密の共有(!)がなされた時間でした。ここ一年の勉強会の中では、最も盛り上がったのではないでしょうか?


まとめは以上で、以下は私の感想です。

「海外ILL心得五箇条」は、自分の担当する閲覧業務にも共通する意識であると感じます。例えば利用者の要求が掴めなかったり、業者からの連絡がなかったりして苛つくことがありますが、そのような事態は、事前に確認すべき事項を整理したり、明確に期限と方法を設定することで減らすことができます。失敗を経験として蓄えておくことで、うまく事前事後のフォローができるようになりますよね。

今回の充実した講演内容から、菊池さんの経験の豊富さを窺い知ったのは私だけではないはずです。


文学研究科図書館(以下「文閲」)のILL担当である宮嶋さんにインタビューにご協力いただいたので、部局図書館の一例として、文閲の海外ILL状況をご紹介したいと思います。長時間お付き合いくださった宮嶋さんに、この場をお借りして御礼申し上げます。

文閲では、常勤職員1名、非常勤職員1名の計2名がILL業務にあたっています。


  • Q1 年間の件数はどれくらい?
  • A1 直接の受付・依頼はしていない。教員から依頼のあったもののうち、調査した上で国内にないとわかったものは附属図書館へ転送している。また、受付も附属図書館経由で、デリバリー便で複写物と貸出資料をやりとりしている。直接附属図書館へ依頼される件数は把握していないが、2008年度の場合、複写依頼:4件、複写受付:34件、貸出依頼:0件、貸出受付:5件。最近多い申込館は、Victoria University of Wellington、Hong Kong University。複写受付は、人文学系の雑誌が多い。複写依頼は、英語や中国語資料がほとんど。

  • Q2 困ることは?
  • A2 (滅多にないが)延滞になった場合、資料が返却されて来るまでに時間がかかることが多い。

  • Q3 気を付けていることは?
  • A3 海外にしかない!と言われても、国内で見つかることがままある。再度Nacsisの検索からやり直す。新しい検索方法やシステムが出来ることも多いため、探し方を日々見直す必要がある。

  • Q4 海外ILLはもっとこうだったら良いのに、と感じることは?
  • A4 取次の手数料が高く、利用者が敬遠しがち。出版されている地域によって入手難度が違いすぎる。公費で払えないことがあり、研究者に使ってもらいにくい(立替払いができる場合でも手間がかかり、場合によってはそれもできない)。

A3については、今回の発表の中でも同様のお話がありました。

A1に関して、菊池さんの感覚では、附属図書館へ海外ILLを申し込む利用者のうちの約6割が文学研究科所属者とのことでした。それが事実ならば、件数を把握する術はないものの、同研究科所属者による附属図書館へ直接の依頼件数はかなり多いことになります。海外ILLの需要が文学研究科所属者に偏っている理由を、宮嶋さんは、電子ジャーナルにはない古い資料も重要な研究対象とされているためではないかと推測します。

以前は、海外から資料の複写依頼があった際は、附属図書館の相互利用掛担当者が文閲に来館し複写を行っていました。しかし現在では、転送された依頼を文閲が責任を持って処理し、複写物や図書を相互利用掛に送付しています。受付処理を部局図書館が担い、依頼処理を一括して附属図書館が担うというシステムは附属図書館の荷が勝つものの、中央館としての役割がそこに期待されるのが現状です。

依頼処理の成功率は担当者のスキルにかかっているところもある、というのは菊池さんのお言葉です。スキルと時間を要する業務とはいえ、依頼が増えたら喜べるような体制であればよいのですが…

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