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勉強会の予定・記録

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2010-01-29

第119回 新人企画

20:58 | はてなブックマーク - 第119回 新人企画 - 勉強会の予定・記録

日時

2010年1月29日(金)

場所

京都大学附属図書館4F スタッフラウンジ

発表者

  • 中川 美葉(京都大学医学図書館 閲覧担当)「電子ジャーナルに明け暮れる医学図書館の日々」
  • 古森 千尋(京都大学原子炉実験所 総務課図書掛)「原子炉実験所図書室とはどんなところか?」
  • 大前 梓(京都大学附属図書館 資料運用掛)「カーティン工科大学図書館・サービスの紹介」

参加者

塩野,古賀,井上(昌),菊池,三本木,安原,石原,宮嶋,上山,天野,江上,渡邉,林,野間口,井上(敏),坂本,長坂,梶谷,塩田

資料



発表者からのコメント

中川さん

「パブメドって何?PPTPって何のこと?」から始まった私の医学図書館員生活。その後のドタバタぶりは推して知るべし・・。これを機会にこの1年余りを振り返りたいと思います。また先輩諸氏の経験とお知恵を伺いたいテーマも用意しています。意見交流ができること、楽しみにしております。

古森さん

原子炉実験所は遠隔地にあるため、どのような場所なのかまったくご存じない方も多いかと思います。京大でありながら京都になく、しかも原子力関連施設ということで、先行するイメージはどうしても良くなりにくいのではないでしょうか。そこで今回、原子炉図書室の現状についてよりよく知っていただけるようご案内したいと思います。もちろん良い点ばかりではありませんが、決して悪いところではありません。これを通じて、少しでもみなさまからのイメージアップに繋がれば幸いです。

大前さん

2005年8月-2007年7月の間オーストラリアのカーティン工科大学に留学していました。そこの大学図書館について、当時いち利用者として便利だと感じたこと、現在サービス業務に携わって気付いたことを中心にご紹介したいと思います。附属図書館には日々様々な要望が利用者の方から寄せられていますが、海外ではどうなのか、附属図書館ではどのように対応できるか、ということについても考えてみたいと思います。

参照

参加者の感想1: 安原さん→中川さんの発表

附属図書館での勤務経験を持ち、現在は医学図書館閲覧担当をされている中川さんによる臨場感溢れる業務紹介。それまで行ってきた業務とは全く異なる業務に突然携わることになった時の戸惑いは、多くの大学図書系職員が共感できると思います。新しい環境での試行錯誤のエピソードがたくさん盛り込まれ、発表内容から現場の雰囲気を感じ取ることができました。また、医学系利用者のためにカスタマイズされた図書館Webサイトの管理や、情報リテラシー関係の授業について等、医学図書館の気になる活動の一端を知ることができ、非常に興味深い内容でした。

発表は、主な担当業務の説明に沿って行われました。

  • Webサイトの管理・編集
    • 医学研究科の利用者がよく利用するDBがトップページからすぐ利用できる
    • 医学系にカスタマイズされたEJ・DBのポータルサイト
  • EJに関する質問・苦情受付
  • 授業・講習会
    • 情報リテラシー関係の授業(正規の授業内の1コマとして今年度は6回実施、受講対象は学生~院生)
  • 利用者PCのメンテナンス

中川さんがまとめとして挙げられた

  • 利用者がいかにスムーズに求める論文にたどりつけるか
  • いかに快適な学習空間で勉強できるか

という2点は、大学図書館サービスの基本でもあり、目標の一つでもあると思います。業務内容は図書館により様々でも、サービスやそれを実践する人の基本となる部分は同じであることを中川さんの発表から再確認することができました。ありがとうございました。

参加者の感想2: 長坂さん→古森さんの発表

まずお断りしておきますと、既にレジュメがupされておりますので、発表の内容に関してはそちらをご覧いただき、あくまで私の個人的な感想を述べたいと思います。

古森さんが所属している原子炉実験所図書室は、俗に言う「遠隔地図書室」で、場所は大阪の熊取。人員は掛長と掛員(=古森さん)、それと非常勤の方が一人という小規模な図書室です。では、ここはただの「京都からの交通に不便で、小規模なだけの図書館」なのでしょうか。古森さんは、そうではない、と説明してくれました。では、原子炉図書室の魅力とは何か。

私が、古森さんの話を聞いて感じた、「原子炉図書館の魅力」は、何より「人と人とのつながりが強い」ことです。例えば、全所員が行う宿直や実験所全体での懇親会の存在。それらの成果であると言い切ることは出来ませんが、発表内容からそういったコミュニケーション濃度の高い職場を感じ取ることが出来ました。レジュメにもあるとおり、発表いただいた内容では「課題」として「事務部から、図書館業務に対する理解を得る」という項目が強調されていました。これは多くの大学図書館において共通の課題と思いますが、こういった密なコミュニケーション網が土台として存在していれば、解決への道のりは意外と近いのではないかと思えました。

古森さんの今回の発表は、話の運び方が非常にうまく、存分に原子炉図書館の魅力を伝えていて、とても面白かったです。是非また勉強会や、数々の他の機会で古森さんの発表を聞かせていただきたいと思います。ありがとうございました。

参加者の感想3: 石原さん→大前さん

大前さんは国内の大学で日本文学を学んだ後、2005年8月よりオーストラリアのカーティン工科大学に在籍し、図書館学の修士号を取得されました。就職に先立ち、より実践的な内容を修得したいと考えたことが留学の動機だそうです。カーティン工科大学には図書館学の専門コースがあり、さらに入学に必要な英語力を習得するためのサポートプログラムがあったことが決め手となりました。

カーティン工科大学図書館の特色を箇条書きでまとめます。

(1) セキュリティサービス

利用者の安全確保のため、夜間はキャンパス内を巡回バスが走り、学生を近くのバス停や寮まで送り届ける。時間外にはセキュリティエスコートサービスが利用でき、専門スタッフが車で送ってくれる。

(2) ポータルサイト

返却期限前通知や貸出中の資料へのRecallなど、資料に関する通知はすべて学生ポータルサイトに配信される。貸出状況等を確認できるMyLibrary機能もあり。図書館員から直接連絡を受けることはなく、ポータル/MyLibraryによる自己管理が鉄則。

※Recall:他の利用者からの利用希望。貸出期間が学部生は6週間、院生は1セメスターと長期にわたるため、Recallのような制度があるらしい。

(3) 罰金制度

資料の延滞に対し、1日50セント(※約45円)の罰金が設定されている。罰金を支払わなければ卒業できない。

発表の最後には、京大附属図書館に寄せられる利用者からの要望が紹介されました。例えば開館時間の延長の要望は多いが、カーティン工科大学のようなセキュリティの確保ができない以上、実現は困難。多岐にわたる要望はそれぞれが正反対の要求である場合も多く、そのすべてに対応はできないが日々方策を探りたい、として発表を結ばれました。

ご自身は留学中一度も資料を延滞せず、図書館主催の講習会を積極的に活用したりと、優秀な図書館利用者だったようです。勉強会参加者からは活発に質問が出るなか、あえて延滞して罰金を払ってほしかったという声も上がりました(笑)

今回の発表は、大前さんが終始堂々とかつ笑顔でお話しくださったのが印象的でした。一年前緊張でしどろもどろに発表した私は、活き活きとお話される姿を羨望の眼差しで見てしまいました。彼女は業務でも冷静に適確な判断をされる、とても頼りになる存在です。

私もカウンターやアンケート等で利用者から意見をいただきますが、要望をそのまま聞きその全てに応えようとするのは最初から無理があります。しかし、図書館の方針を確認した上で、本質的な問題を少しずつ改善できるよう糸口を探っていきたいですね。

参考ページ

発表内容の理解に役立つWebページをご紹介します。

  • カーティン工科大学公式HP(日本語ページ)
  • 神戸大学国際文化学研究科・国際文化学部国際交流委員会HP>協定大学情報>留学体験記>帰国学生のレポート>カーティン工科大学

※神戸大生2名によるカーティン工科大学への留学体験記。

  • 京都大学図書館機構>Suggestion Box

※主に附属図書館に対する利用者からの意見と図書館からの回答。開館時間とセキュリティの関係に言及したSuggestion21-23をリンク先に挙げました。

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